アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
んな時さえ爪先立ちになることはない
。小指大の腎臓からその爪先ほどの膀胱に抽出された尿は無菌で、少量の
食べ物は親指大の胃と大みみずほどの腸で効率的に消化吸収されてガスが
溜ることもなく、出て来る時にはさしたる匂いもない。肺活量が極端に少
ないので嚥下に際して空気を誤飲することがなく、よってゲップもしない
。
「ホモ・サピエンスの尻というのは結局、搔く為にあるのさ」
と彼は食事の席で笑ったものだった。
そんな候爵の身に危険が迫ったのは1938年5月、アドルフ・ヒトラー
がイタリアを訪問した時だった。
わが友ベニートを内心では見下していたヒトラーだったが、催され
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