アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
う、というのも口癖だった。
そのように他の主要な内臓も小型ながら頭蓋に秩序立って収まっており円
滑に機能したので、脳の活動を含む基礎代謝、顔面及び手足の運動をまか
なう熱量をしか要さぬ侯爵は極めて小食であり、1日の食事量はひと掴み
のパスタにレタス1、2枚とトマト1切れほどで足りた。金属では無粋だ
と陶工に作らせたコーヒースプーンで愛飲したエスプレッソでさえ、起き
抜けと毎食後に3口ずつで済んだ。すぐに回ってしまう酒と煙草は口にし
なかったが、脳の占める体積比が圧倒的なので糖分はよく摂った。虫歯で
歯の殆どを失ってからは、グラニュー糖を流し込んでは舌で楽しんでいた
ものである
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