大蛇と影を重ねて/ポッポ
女と公園で会った僕は付近に誰もいないことを確認し、いくらか坂になった芝生の上に女を押し倒す――。
性行為は、僕にとって初めてのことだった。
行為中、ヒレンクターは笑っている。僕となんども目が合い、そのたびに笑いの彫りを深めながら、その場面を眺めている。
なぜか僕は、行為中、自分一人とヒレンクター一匹の存在しか気づけなかった。イヤがる女がそこにいることを知りながら、僕は女を感じることができなかった。
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行為のあと、仰向けになって空を見つめる僕のとなりで、女はこちらに背を向けて泣いている。
少し前まで、辺りには霧のようなものが立ちこめていた―
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