大蛇と影を重ねて/ポッポ
た――そんな気がしたが、ひと息つくと、うす白い波の向こうに霞んだゆらめくものを見るための?想像力の手探り?が必要なくなったかのように、モヤが消えている。
僕は満月にはわずかに足りない月を眺め、意識がつねに?見えているものだけ?に働いているような気がしていた……。
暗がりから守ろうとしてくれているようなささやかな月あかりを受け、僕はこの芝生を、色彩の豊かな花畑にも、怨念を敷き詰めたようなどす黒い荒れ地にも変えられずに、となりの女も知っている?当然の芝生?として見ている。それはまるで、想像力がどこかへ行ってしまっているようだ……。
僕は立ちあがり、泣いている女になにも言わず、その場から離れ
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