大蛇と影を重ねて/ポッポ
 
どありはしないのだから。
 先へ、また先へ、次のものを見させてほしい……。


   ○誰かの声のせいで

 遠くから聞こえてくる声は、僕が想像しているものではなく、たしかに誰かが発している声だった。なぜだかそれを聞くたび、僕の中の寂しさが共鳴するような意識が起こる。
 ……聞きたくない声は聞きたくない……。
 どうやら今、僕の中で?制圧せよ?という言葉が居据わっているらしい。遠くから聞こえてくる誰かの声に気づくたび、寂しさの共鳴を遮るように、僕の中で?制圧?という言葉が同じサイズのまま分裂する。
 想像力によって創りだした世界に、誰かが外部から放りこんだ声が紛れこんできた。その
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