大蛇と影を重ねて/ポッポ
れは?うまい?といった印象ではない。なにか普通ではない感覚に対し、不思議さと、なんらかの魅力に惹かれて舞台を眺めている。――横目で人々を確認する僕は、そう判断した。
ヒレンクターは僕に巻きつき、鍵盤の上を睨んでいる。
僕は――ここだろ? 次はここだ。このタイミング、この強さで。もちろんわかっている、ここで一瞬ずらすんだろ? これが現在のもっともたる快感だ――というふうに、神経を悦ばせながら瞬間ごとの閃きを味わっていた。
見惚れるようについてくるあの視線を思いどおりに誘き寄せ、僕の興奮の絶頂に合わせて落としこむ快感。また、ヒレンクターに巻きつかれた?こそばゆさ?に責められ、恥じらいを捨て
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