大蛇と影を重ねて/ポッポ
 
がその市民会館で行われていることを知る。
 僕は五歳のころからピアノを弾いているが、ピアノ教室に通うことは十二歳でやめ、それ以降、十七歳になる現在までは自室のアップライトピアノを使って一人で練習していた。
 僕は会場に入り、誰かの演奏を聴きながら嘲笑する。
 そうした時間がしばらく過ぎ、すべてのプログラムが終了すると、会場の席からまばらに散っていく人々が目につくようになった。自分の演奏に納得している人や納得できない人、誰かの演奏を批判する人など、予定が済んだあとのある種のくつろぎの時間に、僕は鍵盤蓋も屋根も開かれているピアノが置かれた舞台へ身体を乗りあげる。
 僕がピアノ椅子に座り、鍵盤に
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