大蛇と影を重ねて/ポッポ
転んで負った痛みに気を取られていたようだが、うつ伏せになった自分の背後のすぐそばで息を荒げる僕を再認識したのか、痛み以上に避けたい怖さにハッとした様子で、顔と身体をこちらへ向ける。
僕は少年の頬を殴った。倒れている少年の上にまたがり、なんども、なんども……。
少年は泣きながら「どうして、どうして」と震えを伴ってつぶやく。それを見ていたヒレンクターの目の鋭さと、軽く開いた口は、望んでいた光景に?してやったり?という様子だ。
気が済んだ僕が息を荒げたまま立ちあがり、引きつけを起こして倒れている少年を見おろしていると、ヒレンクターは地面にこぼれている少年の涙を舐めはじめる。少年は自分がこぼし
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