大蛇と影を重ねて/ポッポ
ぼした涙をすするヒレンクターを間近に見ると、また「どうして、どうして……」と、かろうじて言葉になっている声で震えながらつぶやいた。なぜか、少年から新しい涙はこぼれてこない……。
ヒレンクターは滴のすべてを舐め終えると、僕の顔を見て喉を鳴らしはじめる。ヒュルルルルという音を出し、気分の良いことを僕に伝えているようだ。
――その後、僕は自室のベッドの上で目を覚ました――
身体を起こし、ベッドの下で寝ているヒレンクターを見ながら夢のことを思う。
あの少年……ヒレンクターが見えていたな……。どうしてだろう? こいつは僕にしか見えないものなのに……。
……もしかして、追いかけているときは
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