シコシコ/攝津正
 
れて、残酷な自己分析の文章を書いたのも病気に拍車を掛けた。冷徹に自己認識を進めて行くと自分は死ぬしかないように思える。その認識が攝津を切り刻み責め苛んだ。攝津は自分自身の自己分析で病んだ。分析が癒しではなく病を齎した。攝津が等身大の自分を見つめるという事は卑小で駄目でどうしようもない行き詰った自分を見つめるという事であった。学歴が何の役にも立っていない、何の才能も無い凡庸なる自分自身の姿を見つめるのは恐ろしかった。攝津は外面的にメタボ豚で醜悪なだけでなく内面的にも崩壊していた。攝津には「自分自身を維持する」事が出来なくなっていた。それで崩れた。仕事に行けなくなった。
 だが攝津は、三月以降はまた
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