シコシコ/攝津正
な倉庫内労働者としての自分を肯定できれば、受容できれば、承認できれば、幸せになれるのではないか。攝津にはよく分からなかった。
焦るのを辞めてみよ、とも思ってみたりもする。インターネットラジオで即興演奏を披露する、それだけでいいではないか。焦ってそれ以上、上を目指さなくても良い。いきなりプロを目指さずとも良い。自分の現状に自足せよ。そう思ってみたりもする。
攝津は自分の事を、三島由紀夫の『豊穣の海』の安永透のようだと思ってみたりもする。自分が特別だと思い込んでいるが、何ら特別な所など無い贋物。或いは本多か。認識に生きる生。攝津は前田さんやiwaさんが本多だと思ってきたのだが、それは傲慢な考え
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