唾と蜜ーー参考資料⑦/robart
 
ことによって営まれている国家であった。例えば彼が風邪をひけば、その国に伝染病が流行ったりするし、『罪と罰』を読めば、『唾と蜜』なんていう本が書店に並んだりする。そんな具合だ。自分の日常生活がその国に影響を与えるという事実は、彼の日常生活を少しぎこちないものにしたが、(一度台風の夜にコンビニへでかけて、その国家に甚大な損害を与えたことがあった。)男としても特に辛いことでもないし、また自分の作り出した国だという責任感のようなものもあった。親心と言ってもいいかもしれない。しばらく経つと、国家自身に自律性があることがわかってきた。つまり、その国家には男の意志と無関係に成立している部分があるということだ。首
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