唾と蜜ーー参考資料⑦/robart
 
。首都郊外に謎のビルが建築され、延々と独り言をつぶやく少年たちが収容された施設として機能しているのに男が気付いたときにはもはや手遅れだった。国家はついに軍隊を編制し、議会を招集し、非常事態を宣言し、同時に男に宣戦布告を行なった。恐怖した男はためらうことなく特大の原子爆弾を想像し、その国は跡形もなく消し飛んだ。男はその後、一週間放射能障害に悩まされ、苦しみ抜いて死んだ。マンションの一室で男の死体が発見されたとき、男の皮膚はズルズルに溶け腐敗が進んでいたという証言が週刊誌に載った。いくつかのニュース番組で謎の変死事件として取り上げられたが、大した進展もなく、すぐに忘れ去られた。
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