ジャズ入門/A-29
がその特異なボーカルスタイルと歌詞の書替えによって、黒人の子守唄であるこの曲のイメージを無残なまでに破壊してしまう。その動機がよく分らなかったが、「自分は今までクラス、学校、町、そして国中の笑い者だった」という彼女の発言を知って、彼女の魂胆が見えてきたような気がした。
彼女には「クロさんたちの古臭い子守唄をハシゴにしてアタイは成り上がるつもりだけど何か?」というような覚悟のようなものが無かったか。「いまどきはアタイらの方がよっぽどヒサンだっつーの!」というようなことを世間に向かって言い放ちたかったのではないか。
58年のマイルス・デイビスによる『サマータイム』ですら、オペラ『ポーギ
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