【140字小説】ヤクザの親分他/三州生桑
がついた。
【女と男】
女はさめざめと泣いてゐた。男は渋い表情で煙草をふかしてゐた。女は涙に酔ってゐた。 男は早く話しを終はらせたがってゐた。女は自分のことしか考へてゐなかった。男はひたすら明日のことを考へてゐた。「あたしどうしたらいいの?」男はうんざりしてため息をつく。そして猫はぷすっとおならをした。
【手】
「あんた、その手ェどうしたん?」「ああ、この手ェなぁ、鯨がかじって持っていきよってん」「ああ、さう」幼稚園の先生は、とてもきれいな女性だった。私はどうにかして彼女に好かれたかった。「この手ェ全然痛ないねんで。僕泳げるしなぁ。走るのも早いで」「でも、その手ェは隠しとい
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