【140字小説】ヤクザの親分他/三州生桑
 
といた方がええわ」


【ヤクザの親分】
私が祖母の手を引いて散歩するのを、ヤクザの親分は毎週ぢっと見てゐた。彼は皆から怖がられてゐたが、何故か私にだけは挨拶してくれた。「おう、お早う」親分に見舞ひ客はなかった。祖母の死後、車椅子で日向ぼっこする親分を見かけた。両脚が無かった。そして、相変はらず旨さうに煙草を吸ってゐた。





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