高野山物語/済谷川蛍
ないと思ったので拾ったのだった。それの不思議だったのは重さが変わることだった。温度も変わった。ポケットに入れておいても、それは感じた。本物かもしれんと怪しむ。珠数屋四郎兵衛なんかで売ってる代物なんかではない。何とはなしにさすっていたのだが、突如今までにない重みと熱を感じ、神様らしきもんが目の前にあらわれた。まるで仙人のような爺さんだ。
特に挨拶らしきものはなかった。
部屋が狭くなったのでゴミ屋敷を片付けることにした。洗濯カゴの中にペットボトルと空き缶が200本。いちいち水でゆすぎ、ラベルをはがし、缶は潰す。別にエコロジストというわけではない。ゴミ捨て場を仕切ってるうるさいオヤジがいるの
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