黒頭巾ちゃんと仮面舞踏会/チアーヌ
 
かしら。この曲は、確か......)
 ふと、黒頭巾ちゃんの胸が騒ぎました。
(どこかで聞いたことがあるわ。どこかで.....)
 ホールの照明が落とされ、黒頭巾ちゃんの周囲が薄明るい光に包まれました。
「休憩時間まで楽しむつもりかね。全く、好き者の奥さんにも困ったもんだ」
 道化師がぶつぶつ言いながら黒頭巾ちゃんに付き従います。
(ああ、そうだわ。これは、チャイコフスキーのロメオとジュリエットじゃないの)
 黒頭巾ちゃんの頭上で、シャンデリアが消えました。
 そうして、黒頭巾ちゃんの眼前に、オーケストラが現れました。
 こちらに背を向けて、指揮者がタクトを振っています。
 黒
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