黒頭巾ちゃんと仮面舞踏会/チアーヌ
 
りませんか。
「へえ、有名な指揮者?それは一体誰なの?」
「奥さん、それは聞かぬが花というやつですよ。なにせ今夜は、仮面舞踏会ですから」
「そうか、それもそうね。ふふっ、それじゃあその指揮者の顔でも拝みに行こうかしら?」
「奥様、オーケストラピットはあちらです」
 そのとき、ダンスの休憩時間が訪れました。
 オーケストラが、ワルツをやめて静かな曲を演奏し始め、ダンスホールの中の人々は、食べ物や飲み物を片手に、バルコニーのほうや、大ホールを出たところに多数用意されている小さな舞踏場へと、移動して行きました。
 みんな、今日の演奏が素晴らしいということを、良く知らないのです。
(何かし
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