桃色ラビッシュそして清潔な朝日/ソノタ
知っていた。それはでも、長くても2日間ほどの旅だったのだ。
あるとき彼は、長く家に戻らなかった。それでも4日間ほどだっただろうか、過ぎたころひょっこり帰ってきた。いつものように。でも、彼の太ももの皮膚は、桜の花びらをくっつけたように剥がれおちていた。小指の先ほどもない小さな傷のように思えた。医者には重ね重ね診てもらったが、それから彼は、みるみる艶をなくし、日に日に、硬くなっていった。
猫はよく喧嘩をする。彼も喧嘩をしたのだろう。縄張り争いかなにか。発情期の諍いかなにか。それはわたしには知る由もなかったが、あのおとなしいジジが、と思った。どんな風に他の猫と喧嘩をしたのだろう。どうやって傷
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