詩が沈黙する時/岡部淳太郎
しまうに至った。換言するなら、詩と詩ではないものとの関係とは、私という個人と社会との関係でもあったのだ。私がそのように考えてしまうのは、前提として私個人の世界や社会または世間といった不特定多数の人や物を包含する場への異和の感覚があるからこそであり、世界とは違う歌をうたってこざるをえなかった私の局外者意識が元になっているのだ。
そのような感覚をずっと消えずに持ちつづけてきた私のような書き手からすると、詩は世界と同調するものではありえない。前にどこかで「自分は世間から見て恥ずかしく思うようなものを書いているつもりはないし、だいいち自分は詩が好きなのだから、好きなことをやっているのにどうしてそれを恥
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