【批評祭参加作品】<椎野いろは>さんの『つなぎ』と『低気圧』を読んで/Kashin
それに「焼却」されるのですから、悪いものからやや純化された存在に昇華したと思われます。ただ、これは、あくまでも自分の力ではなく、地球/太陽/宇宙/超自然の力によってです。そして、その純化した「ぼく」が「きみの傘へと降りそそぐ」わけです。「きみ(他者)」へ「降りそそぐ」のは、ある種の訴えや共感してほしいなど、そういう他者の存在への渇望があると考えられます。しかし、あくまでも「傘」に降りそそぐのが精一杯で、要するにガードされてます。たぶん作者的には、傘を差していても雨粒の衝撃音が聞こえるように、ある程度は雨粒(ぼく)がきみ(他者)に浸透する、良いイメージで書かれてると思いますが、私が感じたのはやはり、
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