【批評祭参加作品】<椎野いろは>さんの『つなぎ』と『低気圧』を読んで/Kashin
 
り(哀しいイメージの場所?)」なんかじゃなく、何処かに移動してもいいわけです。ですが、この語り手はそうじゃなく、自らの無力感のようなものに打ちひしがれている感じです。だから、「水溜り」なんかで待つしかないわけですが。こういう感覚は、人間誰しも一度は持った事があるし、理解できます。この作中で描かれている主人公の「ぼく」のキャラ設定が、そうなっているので、一個人の読者である私がうだうだ文句を言ったところで、変えようがありません。映画を観賞している人間が、映画のストーリー展開を変更できないのと同じです。だから私は、どんな作品に触れた時もまずは受け入れなければなりません。そして感じ、できれば理解し、一回近
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