『批評際参加作品』私が読みたい詩-実存と世界性/ダーザイン
がする。しゅわしゅわと口のなかで溶け、まるで宇宙食を食べているような感じなのだ。シャーベットのよ
うな冷気が充填されたフロアを出ると、シルビアの家族は地平線が見えるハイウェイに車を入れる。後部座席では、シルビアが朝からの物憂げな表情で窓ガラスに額をあてている。いつからか、彼女の視界には光る綿のようなものがちらつくようになり、体のだるさはいつまでたっても直らない。
シルビアの父がいつも赤信号で急ブレーキを踏む、環状道路の交差点。車の列が停止すると、安物のキャップをかぶった物売りたちが寄ってきて、小さな押し花やボトル詰めの炭酸水を売り歩く。汗ばむ褐色の腕に握られた炭酸水がきらきらと熱を放射する
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