【批評祭参加作品】つめたくひかる、2?江國香織『すいかの匂い』/ことこ
それの比ではなかった。(「弟」)
○台所は暗く、ひんやりとして、私は、流し台の向うの小さな窓をみていた。(「ジャミパン」)
ここでまず気づくのは、「蕗子さん」のひとつ目と「弟」、2ヶ所の「ひんやり」は、「つめたい」とごく近い場所で用いられているということだ。「蕗子さん」のひとつ目の、「つめたい」と「ひんやり」を入れ替えてみても、「ひんやり濡れた甲羅、暗緑色のつめたい手足、厚ぼったいわりになめらかな皮膚、無表情な瞳。」となり、ほとんど意味は変わらないと言える。
一方、「蕗子さん」のふたつ目と「ジャミパン」は、どちらかというと精神的に安定している場面で用いられている。「蕗子さん」では
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