【批評祭参加作品】つめたくひかる、2?江國香織『すいかの匂い』/ことこ
、「つめたい」と語られているときの主人公の心理状態である。
例えば「すいかの匂い」では、「みのるくん」にほっぺたを触られているわけだが、この「みのるくん」というのは、あずけられた田舎の叔母の家から家出した「私」が道に迷い、辿りついた家にいた、「上半身を共有した」男の子二人のうちのひとりなのだ。みのるくんに触れられた「私」は「ひろしくんになでられているようでもあ」り、「混乱した」というのだから、主人公の心理状態は不安定な状況であったと言える。
また、「蕗子さん」のひとつ目は、「蕗子さん」から裸のカメをみるためにカメの甲羅に切れ目を入れるという話を聞いた時の回想シーンだ。続けて「じゃこじゃこと
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