【批評祭参加作品】つめたくひかる、2?江國香織『すいかの匂い』/ことこ
炉」)
○はじめていった日、茶色い大きな椅子にかけさせられ、銀色の器具で乱暴に鼻を上に向けられた。そんなものを鼻につっこまれたことはなかったし、器具はやけにつめたくておどろいた。(「はるかちゃん」)
○背中に舐めるような視線を感じ、私は体がつめたくなって手のひらが汗ばんだ。(「影」)
まず、「焼却炉」の「おしろい花の濃いピンク色」が「つめたく、冴え冴えとしている」というのは、精神的な「つめたさ」について語っており、これは詩にみえた「つめたい」と同じと言えると思う。
それ以外の「つめたい」は、物理的な「つめたさ」を語っている。ただここで少し気にかけておかなければならないのは、「
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