【批評祭参加作品】つめたくひかる、2?江國香織『すいかの匂い』/ことこ
 
があふれる。(「蕗子さん」)

○ビニールプールのへりは赤く、私はいつもそこにぐたりと頬をもたせかけていた。日ざしにあたためられたビニールは水に濡れ、あたたかさとつめたさをいっぺんに、頬で味わうことができた。(「水の輪」)

○金魚。たしかに金魚みたいだ。つめたい水の中を泳ぐ、ひらひらした金魚。(「海辺の町」)

○木々の深い匂いと土のつめたさ、それにめまいのような日ざしの中でするお葬式ごっこは、家の中でするそれの比ではなかった。(「弟」)

○そう、と言って学生はもう一度わらう。おしろい花の濃いピンク色が、まるで闇を吸収するように、深く、つめたく、冴え冴えとしている。(「焼却炉」
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