【批評祭参加作品】つめたくひかる、2?江國香織『すいかの匂い』/ことこ
いない酸素にみちている。物の輪郭がくっきりし、世界じゅうがつめたくしめっている。(「公園」)
●そうして、公園というのはそれでさえおおらかに、空の高さや空気のつめたさ、葉の揺れる音や小枝の美しさ、季節の推移や雨の匂いを頭上にひろげていてくれる。(「公園」)
●夜中の雨はとくに爽快なので、ベッドに膝をついて寝室の窓から存分に眺める。雨に洗われた、つめたく気持ちのいい空気が肺いっぱいに流れこむ。(「雨」)
以上3ヶ所が、私が探した限りで見つけられた、『いくつもの週末』における「つめたい」だ。このエッセイでは、「つめたい」はいずれも爽快な、プラスイメージで用いられている。
これに
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(1)