【批評祭参加作品】つめたくひかる、2?江國香織『すいかの匂い』/ことこ
ので、見落としもあるかもしれないが、そう大きく数が変わることはないと思う)。まずはそれを、挙げてみたい。
○みのるくんは真剣な顔で言って、私のほっぺたにそっと触れた。細くてつめたい指だった。(「すいかの匂い」)
○つめたく濡れた甲羅、暗緑色のひんやりした手足、厚ぼったいわりになめらかな皮膚、無表情な瞳。(「蕗子さん」)
○持っていたコップから石鹸水がこぼれ、私の腕をぬるぬると濡らす。つーっと肘までこぼれたしずくが、つめたくて不愉快だった。(「蕗子さん」)
○くつ下が、濁った泥水の中で鮮やかに白い。つめたさが私に現実を甦えらせ、おとし穴とわかっていておちたくせに、ふいに涙があ
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(1)