【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)/古月
について「日常の諧謔や社会風刺をテーマとして主に扱う、暇な老人の娯楽。求める文学からは程遠いもの」という、勝手な先入観に基づく誤った認識を持っていた。だが実際はといえば、現代における川柳とは、わたしが思うよりもずっと斬新なものだった。
二物衝突から生まれるイメージの飛躍という詩作法は、こんにち詩全般において割とポピュラーなものだが、わたしがその中でも川柳をとりわけ好むのは、先にも述べたが「言葉の平易さ」のためである。
川柳には、韻律があり、難解がない。わたしにとっては現代詩のなかの「短詩」や「一行詩」は緊張感のない弛緩したものに見えるし、俳句は少々堅苦しく、しゃちほこばって見える。短歌は語
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