【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)/古月
歳月や四角になってゆく身体
この「四角」のイメージが、「箱」からそのまま地続きで「棺」までつながっていると思うのは穿ちすぎだろうか。
たとえば、彼女の句には葬式を扱ったものが多い。
・恩恵のような死に目に会っている
・祭壇の写真わたしと違います
・拝まれているわたくしは死んだのか
・はじまりか終りか布をかけられて
・生きていた頃もヴェールを顔にかけ
彼女は他人の葬式を見ていながらも、どうも同時に自分の葬式を見ているように思われる。彼女と葬式の距離は、常人のそれに比べて余りにも近い。
この中でも「祭壇の写真わたしと違います」はとくに面白い。
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