【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)/古月
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・戦死者になって何年経ちますか
・亡くなったものがあふれている道路
日常には死者があふれ、神聖さを剥奪された死が、当たり前のような顔をして彼女の隣にいる。
彼女の生きる世界では、あらゆる境界がゆらいでいる。本来誰しもが当たり前に引いている自己と他者との境界線、自己を定義付ける他者の存在、生と死、すべてが彼女にとっては酷くあいまいなのだ。彼我が溶け合っている。
そのため、限りなく希薄な彼女の存在は、他者からの定義が望めない世界で精一杯の自己を保つため、自分で自分を定義付けようとする。
・わたしが造るわたしは誰なのか
自己と他者の境界が存
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