【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)/古月
明日生まれ変わると思う寝入りばな
・消したテレビに棺を入れておきました
・あおむけになるとみんながのぞきこむ
眠りを擬似的に死と同一視する観点はわりとありふれたものだが、彼女の句は、不思議と死を特別視していない。
死とは人間にとって絶対的なものであり、畏れの対象であるはずなのに、彼女はまるで長年暮らした同居人のように死とつきあっているように見えるのだ。
・移転する死んで間もない姑連れて
・ああ言えばああと答える死後の人
・人類の告別式は一時より
・葬式が済んだら風呂にしてください
・詰めてください次々死者が参ります
・亡父も亡母も行くよ不在者
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