【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)/古月
 
 ・カーテンらしくふるまっている
 ・青色のシートの下の焼け野原
 ・包まれていると誰だか分からない
 ・災いに布をかけると人のかたち


 カーテンや衣服など、よく見れば日常の中にはそこかしこに布がある。普段は誰もその裏側にひそむものになど意識を向けないが、ひとたびそこに不安を感じれば、もういけない。日常はたちまち非日常になるのである。ここにも不確かさへの恐れがあるのだ。
 だが、日常を隠すのは、布だけではない。たとえば「夜」や「闇」という自然の作用や、自ら目をつぶるという自発的な行動もまた、日常を覆い隠す。
 そこで次は、「眠る」ということを考えてみたい。
 

 ・明日
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