アスラエル/チアーヌ
うことは理解したのでせめて楽に死にたいのだが、医者にそう訴えても、
「だいぶ緩和されるはずですがやはり多少はつらいらしいですよ」
などと慰めにもならないようなことを言われる始末で、気分が荒れることも増えた。
俺は孤独だった。
妻は毎日のように病院へ来てくれるが、俺の気持ちや体の辛さは、妻になどわかるわけがないと思った。
現に妻は、一時退院したいという俺の希望を汲んでくれなかった。
酸素の機械を持ち込めば一週間くらいならなんとかなりそうだったのに、仕事も休めないし家で世話をする自信がないというのだ。
俺は心底がっかりした。
まぁでも妻だって、本当は仕事を休みたいのに休め
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