アスラエル/チアーヌ
休めないのかもしれないし、病院での俺の様子を毎日のように見ていれば、家でひとりこんな状態の俺の世話をすることに恐れをなす気持ちもわからないでもない。
そう思えば仕方のないことなのだ。
俺はそう思うことにしたが、妻との間に心の距離ができたことは確かだった。
俺が入った部屋は末期の患者だけを集めたところらしいが、噂ではもう一段階あって、危篤に近い状態になると個室に移されるという話だった。
言われてみれば、俺がこの部屋に入ってから、何人かがすでにどこかへ移動していっている。
交流もないからあまり関心もなかったのだが、行ってしまった患者がここへ戻って来ることはなかったから、おそらく
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