アスラエル/チアーヌ
 
らくそういうことなのだろう。

 そんなある晩、いつものように目が覚めてしまい寝付かれず、ケータイでゲームをしていた俺は、薄明るい病室の中でふと人の気配を感じた。
 病院なのだから看護師の見回りもあるし、夜中だってひっきりなしになにかしら動きはある。
 人の気配があること自体は全く不思議でもなんでもない。
 でも、なんだか妙に気になった。
 その晩は、消灯のあたりから静かだった。
 いつも夜中に騒ぎがちな同室の若い男は、昼間になにやら大掛かりな処置を受けたらしく、強い薬を飲んででもいるのか、ずっと眠っているようだった。
 俺はゲームに夢中になっていたので、最初は気がつかなかったのだ
[次のページ]
戻る   Point(2)