【批評祭参加作品】日々のひび割れ −石川敬大『ある晩秋の週末のすごし方が女のおねだりで決まる』評−/大村 浩一
ようなものだ
第3・4連はやや蛇足気味だが、これも主人公の逡巡の表現と思われる。
「究極の選択」は親切な言い方。それで泣く泣く「女」をとり、結果的に愛犬
は切り捨てられる。逡巡はどうあれ犬にとっては同じことだ。普段は「なにも
なくさない」とか誓っていそうな主人公が、自分の利益のためにあっさり哲学
を変える。起きる事は小さいが思想の後退は大きい。ちょっと大袈裟すぎるか。
(笑)最後の「ようなものだ」の未練がましさが、苦笑いを誘う。
# あした
# 空が晴れわたったなら
# ぼくらは
# ジャスコにでもゆくみたいに気軽に
# 意気揚々と
# 山へ
# どこかの紅葉を
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(8)