【批評祭参加作品】日々のひび割れ −石川敬大『ある晩秋の週末のすごし方が女のおねだりで決まる』評−/大村 浩一
 
もう
 決まったようなものだ

    *

 あした
 空が晴れわたったなら
 ぼくらは
 ジャスコにでもゆくみたいに気軽に
 意気揚々と
 山へ
 どこかの紅葉を買いにゆく
}

 判りやすい詩なので、くだくだ解題する必要はない。
 しかし何気なくやっているなかにも、実は注目すべき点が幾つかある。それ
を拾えば、この詩の魅力や理由も見えてくる。

 まずタイトルの異様な長さが目に入る。しかも何か穏やかではない。
「ある晩秋の週末のすごし方が女のおねだりで決まる」
 普通なら「…すごし方」ぐらいまでに留めるところを「女のおねだり」とま
で引っ張って、「決
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