【批評祭参加作品】日々のひび割れ −石川敬大『ある晩秋の週末のすごし方が女のおねだりで決まる』評−/大村 浩一
 
性を意味しない。むしろ社
会制度としての女、家計や経済を象徴し、男性に男性性を強いる存在としての
現代の女性である。
 ポエトリーリーディングに馴染みのある方は、近藤洋一(1000番出版に詩集
アリ)の声をイメージしながらこの詩を読むといい。この詩に秘められた冷や
やかな皮肉が、浮かび上がってくるのを感じるだろう。

 最後に、自分の詩に対する考え方を少し書く。
 詩や俳句の書き方を教える時「まず日常から書け」みたいな事を言う人が居
るが、あれを真に受けられては困る。いまどきただ平凡な日常や幸福を描かれ
ても、そうでない人からの退屈や反感を買うだけだと私は思う。
 「短歌研究
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