変わってねーのは夕日だけ/プテラノドン
 
れた。力がありあまってるだけだと。

おーちゃんは副坦を笑った。先生、超泣いてたねと。
ありがとうと言った。これからは気をつけるわと。

それから最後に、副坦は一冊の本をおーちゃんに渡した。「何の本っすか?」少なからずの期待を込めて僕は訊いた。「ちょっと待ってろよ」おーちゃんはそう言って、フェンスをがしゃがしゃとよじ登って工場の中へ颯爽と戻って行った。僕は「持ち歩いてんのかよ」と感嘆の声を出した。

「これだよ」
「…寺山修二っすか」
「お前、読んだことある?」
「ないっす。」
「結構いいよ。つっても俺もまともに読んでねーけど。車の中に入れとくと何か気分がいいんだよ。」

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