【批評祭参加作品】原罪と救済のパレード(反射熱 第五号)/古月
らく誰の耳にも懐かしい、そんなうたなのだろう、とそんなことをふと思う。
そして、この「うた」のイメージを伴って、遠海真野の「パレード」は始まる。
華やかなはずなのに、どこか悲しげなその光景には、読者は最初、違和感を覚えるかもしれない。だが、その「静かなパレード」を歩くたくさんのものたちを一つ一つ追っていくうちに、そのイメージが掴めてくるだろう。
そこにあるのは、この上なく優しいパレードである。そこでは人間も、動物も、物も、すべてが等しく優しい。これまで「反射熱」という長い旅をしてきた読者の胸にある不安に、問答無用で救済を叩きつける、これは静かで力強い無言の意思表示だ。
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