【批評祭参加作品】原罪と救済のパレード(反射熱 第五号)/古月
 
だけではなく、服部剛の「私は、見た。」や、大村浩一の「街道」と共にあることで、互いに共鳴しあい、より優れた詩として成立しうると感じた。 ここにも「小さな集合」があるのだ。

 今までは日常に根ざす「救済」を見てきたが、そこから一歩内側に踏み込んだところにあるのが、寓話としての、岡部淳太郎の「原罪」、そして遠海真野の「パレード」である。これら二篇の詩は、まるでコインの裏表や、タロットカードの正位置と逆位置のような関係にある。

 岡部淳太郎の「原罪」は、うまく表現できない不思議な感情を読み手にもたらす詩だ。「変らずにばらばら」な世界に生きる「みんな」は、それぞれが人間として、人間らしく生きて
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