【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
 

平出隆の一文にあった事を私は思い出す。
 70年代以降、詩の行き詰まりとは対照的に、コピーライターや作詞家が脚光
を浴びた。ポピュラー音楽でもCMでも(この言い方はどうにもドン臭いが)単
純なものから今日的な感覚を捉えた「面白いもの」が注目されるようになった。
CM界に至っては「逆宣伝」という手法が認められるようになって、表現上不可
能なものはないような錯覚すらあった。
 単純にTVと漫画雑誌で流通できるものが戦後のタイシュー文化を席巻して
いった。その中ではじめはTVなどのマスカルチャーと、既存の文芸などのハ
イカルチャーは並存していたが、徐々にハイカルチャーが侵食されるよ
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