【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
るようにな
った。電波に乗せるに際して楽曲の体裁を整えられる歌詞、CMで流せるコピー
ライティングに対して、現代詩は中途半端に難解で媒体に乗せる形が無かった。
そして現代詩への価値観を背景で支えていた社会主義も、物質的な豊かさに呑
みこまれてしまった。
詩がそうならずに済む可能性はあった。口語自由詩の本来広汎な浸透性は、
大衆を味方につけられる武器になる筈だった。
しかし現代詩の詩人も、それに係わる出版社にも、文化に対する主導権を維
持する戦略や努力が無かった。日本にはギンズバーグの様な才能は現れなかっ
た。マガジンハウスの詩の雑誌「鳩よ!」にはメディアとしての可能性があっ
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