【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
 
にあっては、思想的にも左翼系の革新的な人たちが、同人誌や詩誌、
評論によって旧弊に妨げられることなく焼け跡の荒地から意気盛んに飛躍して
いったのに対し、定形詩では技量の継承が昔ながらの「結社」の師弟関係で行
われ続けたこともあって、暫くは時代の変化に対応出来なかったのではないだ
ろうか。
 ところがその優位性が、高度経済成長に伴って商業性が求められるようにな
ってからは、ゆらいでいった。

○「高度資本経済が芸術を変質させている」
 私が現代詩を始めた80年代前半、コピーライターに対する抵抗感が詩人の側
にはあった。「半周遅れたコピーライターになって」という自嘲めいた言葉が、
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