【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
 
」というの
は、実に実直なコメントだと思う。現代詩の芥川賞にあたるH氏賞の受賞詩集
でさえ5,000部前後と聞いたことがある。対する小説のほうは、新書判の推理小
説では新人でも最低20,000部出すと聞くから、一般に対する浸透の差は歴然だ。
 「現代詩より圧倒的に強い」については、この後に彼自身も言及する戦後詩
のことが一因にある。戦後暫く、あれほど現代詩が詩のジャンルとして強かっ
たこと自体が異様だったのかもしれない。これは敗戦後にそれまでの近代詩人
が戦争責任を問われたこと、定形詩はさらに第二芸術論が言われたことで旧来
の詩人が非常な逆境にさらされたためだろう。
 現代詩にあ
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