【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
は良くない。
だが、それが良いという面もある。微小な力で描けるということは、その他
のアートではとりこぼしてしまうような、ささやかな声や試みも拾うことがで
きるということだ。それに僅かなテキストなら紙1枚、いや暗唱で口承すれば
紙さえ要らない。そこに、他者に通じる奇跡を期待することは可能だろう。
無論いまの現代詩の無力さを正義の手形みたいに言う積りは無いし、仕立て
によっては特殊な音楽のような体裁で、差別化されたアートとして大規模に売
れる可能性だってあるが、そういう商業性はすぐさまいかがわしいものと化し
てしまうのが今の世の中だ。ならばいっそ、無力さを武器とした、花を抱えた
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