【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
 
も若い頃には「いいものは売れる」「良い詩には相応の対価を」などと思
っていた。いま思えばハズカシイし不遜だとも思う。日本教育の平均的水準が
低落していったこの時代に、「売れるモノ」を肯定することは妥協を強要され
る事を意味するし、相応の対価を言うなら出版業界のキビシイ市場競争の中で
定まる価格に対してこそ納得すべきであろうと思う。(それにしたって本の価
格は再販制度でまだ護られているのだが)
 口語自由詩、そして現代詩は誰にでも書ける、言葉による素描だ。そのくせ
読解には読者の大きなエネルギーを要する。音楽や映像など、その他の表現物
に比べて一般大衆はどうにも吸着しにくく、相性は良
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